クールな王子は強引に溺愛する

 それから数日、エミリーは言われた通りなにもしなかった。部屋に篭り、ただリアムの帰りを待った。

 モリーが必死に元気付けようとしてくれているのはわかるのだが、返せずにいて、返せない自分にまた鬱々とした気持ちを募らせた。

 ライラックはモリーが生けてくれたのか、部屋に彩りを添えている。ほかにもたくさんの花が飾られているのに、あれだけ好きだった花も今は心に響かない。

 リアムが部屋に訪れるとリアムからの寵愛を受け入れたが、心は空っぽだった。

 一方のリアムは、執務室で深くため息を吐いていた。

「新婚の夫とは思えない表情をされていらっしゃいますね」

 グレイソンに指摘されても、言い返す気力もない。リアムはぼやくように言う。

「まるで人形を抱いているようだ」

 顔色を悪くさせ倒れて以来、エミリーは精気がなくなってしまったように力ない。抱けばそれ相応の反応はあるのだが、ただそれだけだった。

 愛を囁けと言われ、意識のないエミリーに囁いてみたものの、本人は覚えていないようだった。今のエミリーに、もう一度伝えたところで口先だけだと思われるのが関の山だろう。

「そろそろ準備も整います。いつまでも秘密にしておかずにエミリー様にもご報告くださいませ」

 グレイソンは早急にエミリーに現状を説明しろと急かす。
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