ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

求婚のポーズに音楽が止むと、マリンの取り巻きたちは歓喜の声を発し、マリン自身も驚いたように両手を口元にあてて、頬を染めつつアルベルトを見下ろす。

室内がしんと静まり返ったほど、みんなが息を飲んで王子の次の言葉を待っている。しかし、彼は顔を俯けた状態で身動き一つせず、なかなか言葉を発さない。

生徒たちがざわめき始め、マリンも動揺を隠しきれなくなった時、アルベルトの声が響いた。


「私、アルベルト・オーウェンは、マリン・アーヴィングに求婚する。どうか私の花嫁となってください」


顔を伏せたままそう告げたのち、またほんの少しの間を置いて、アルベルトが視線を上げる。

「喜んで」と、マリンがアルベルトの手に色白の手を重ね置いた瞬間、室内に大きな歓声が沸き起こる。

立ち上がったアルベルトの傍にマリンが寄り添い立つ。みんなからの祝福に嬉しそうに手を振って答えるマリンと、静かに微笑むアルベルト。

マリンの取り巻きたちが勝ち誇った顔をロザンナを向けると、ロザンナの取り巻きだった娘たちは、私は関係ないと言った様子ですぐにその場を離れていく。

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