ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

受付前の長椅子や床に、二十名近い負傷者が横たわっている。騎士団員たちは呻き、血を流し、ひどい打撲の後も目につく。

男子生徒たちは顔を青ざめさせてその光景を見つめている。みんな聖魔法師を目指していても、凄惨な場に対して免疫がある訳ではない。

しかしロザンナは別だった。動けない彼らの間から飛び出し兄の姿を探すも、人数が多く見つけられず焦りが募る。

放置されている騎士団員の方が圧倒的に多いことに居ても立ってもいられなくなり、ロザンナは治療にあたっているゴルドンへ小走りで近づく。


「ゴルドンさん!」

「君は学生だろ! 邪魔だ。下がっていなさい」


呼びかけると同時に、ゴルドンのそばにいた若い聖魔法師がロザンナを注意する。すぐさまゴルドンが彼を睨みつけた。


「黙ってくれ。彼女は俺の弟子だ。君よりはあてになる」


言葉を失った若い聖魔法師にため息を投げつけた後、ゴルドンは肩越しにロザンナを振り返る。


「ロザンナさん、頼みます」

「はい!」


何一つ躊躇うことなく虫の息になっている重傷者の傍にロザンナは膝をつき、頭部の裂傷へと手をかざす。

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