ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「どうしましたか?」
ゴルドンに話しかけられた男は顔を向け、驚きで目を大きく見開いた。
「ゴルドン元師団長! あぁこれぞ天の助け! 西の森へ遠征に行っていた第二騎士団が集団でいたノームを刺激してしまったらしく、負傷者が多数います。お願いです、どうか力を貸してください!」
ゴルドンはもうひとりの教師へ視線を送ってから「わかりました」と力強く頷き、男性とともに部屋を出て行った。
後を追いかけてリオネルが部屋を飛び出したのを切っ掛けに、男子生徒たちが次々に続く。
「こら待ちなさい! 私たちは待機です!」という教師の声だけが虚しく響いた。
そしてロザンナも、第二騎士団と聞いて兄のダンの顔が浮かび、その場に留まってなどいられない。
パタパタと足音を響かせながら第二受付に近づくにつれ、呻き声もはっきり聞こえてくる。
ノームは地の精霊。普段は大人しいが、怒らせると地中に引きずり込まれたり、鋭い石の礫や棍棒で攻撃してきたりと凶暴な面も持っている。
遭遇したら刺激せずに立ち去るのが常識なのだが、何かしでかしてしまったようだ。
第二受付は非常時にのみ使われる。先にたどり着いた男子生徒たちの間をすり抜けて、ロザンナは息をのむ。