ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

怒りの滲んだロザンナの言葉を聞いて、リオネルが負傷者へと歩みより治療を開始する。

その姿に感化され、治療の経験のある者、経験がなくても補佐に入ろうと、学生たちも自ら動き出す。

学生たちがそうなのに、若い聖魔法師の震えている足は動かない。ロザンナはそんな彼から視線を外し、重傷者だと思われる人の元へと歩き出す。

確かに勝手な行動かもしれない。けれど、苦しんでいる人を前にしてじっとしてなどいられないのだから仕方がない。

お叱りなら、全てが終わった後にいくらでも受ける。しかし、今は出来るだけのことをしたい。

ロザンナは覚悟と共に、二人目の治療へと気持ちを集中させた。

重傷者の治療が終わり軽傷者へと移行すると、ロザンナ自身から発せられていた輝きも弱くなっていく。

そして最後にロザンナが向き合ったのは兄のダンだった。やっと見つけた兄が、頬にかすり傷を負った程度で済んでいたことにホッとする。

傷を癒しながら話を聞くと、兄の同期である新米騎士団員が軽い気持ちでノームを挑発したのが発端となったようだった。

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