ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています


「ノームを甘く見過ぎですわ。小人で可愛らしい見た目でも四大精霊に名を連ねているのですから、怒らせてはいけません」

「あいつ、騎士団員になれて気が大きくなっていたのかもしれないな。……しかし、激怒したアルベルト様を初めて見たよ。あんな感じできつく絞られたら、再起不能かもな」


ダンはその時の光景を思い出したのか、大きく身震いした。一方、ロザンナは口元に冷ややかな笑みを浮かべる。

これまでの人生でアルベルトに怒られたことはないが、あまりにもしつこく食い下がったがために、冷酷な言葉でばっさり切り捨てられたことはある。

彼が自分に向けた切れ味抜群の眼差しを思い出し、ロザンナも身震いした。

ダンは頬の傷があった場所に触れつつ、椅子から立ち上がる。


「そろそろアカデミーに戻ろうか。送っていくよ」

「ありがとう」


ダンの治療に取り掛かろうとした時に引率の教師がやってきて、アカデミーに戻る馬車が次の出発で最後だとロザンナに伝える。

兄と会ったのは本当に久しぶりだった。

治療も済んでいないし、もう少し話もしたいしと困り顔になったロザンナを見て、ダンが「俺が妹を送っていきます」と申し出たのだ。

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