ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「しかし、ロザンナ嬢は大活躍だったらしいじゃないか。女神と言われるだけあると、魔法院のお偉いさん方が騒いでいましたよ」
わざとらしさを感じる口調で褒められ引っ掛かりを覚え、ロザンナは苦笑いを浮かべた。瞬間、伯爵の眼差しがすっと鋭くなった。
「才女としての活躍は目覚ましいようだが、肝心の妃教育の方はあまり身が入っていらっしゃらないようですね。他の候補生に失礼だとは思いませんか? 辞退すべきでは」
辞退は申し入れたが、すでに断られている。
咄嗟に反論の言葉は思いつくも、それを言ったらアルベルトに迷惑をかけてしまうような気がして、ロザンナは口を閉じた。
何も言い返してこないロザンナを鼻で笑ってから、伯爵は踵を返す。後方で控えていた侍従と共に、動けない兄妹の前から姿を消す。
やや間を置いてから、ダンがぽつりと呟いた。
「事故にあった両親を助けたと聞いた時は正直信じられなかったが、今日のロザンナは確かに女神だった」
そこでダンは微笑みを浮かべ、のんびりとした足取りで歩き出す。もちろんロザンナもその隣に並ぶ。