ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています


「アルベルト様との仲はどうなんだ? もし可能性がないと感じているなら、俺は伯爵の言うように辞退しても良いんじゃないかなと思う。……ただ、父さんからはしばらく口を聞いてもらえないかもしれないけど」

「やっぱりそうなるわよね。お父様は私がアルベルト様の花嫁になることを切望しているし」

「この前父さんと会ったんだ。ロザンナが一般の授業まで取ったことを気にしていたよ。その時間でアルベルト様と仲を深めて欲しかったと」


アルベルトに自分は選ばれない。その時、父はどれほど気落ちするだろうか。

父の沈んだ姿を想像しただけで心が締め付けられ、思わずロザンナは胸元を手で押さえた。

どちらにしても父を傷付けることになるが、行動を起こすなら早い方がいいかも知れない。

今のうちにもう一度、アルベルトへ辞退を申し出るべきかもしれないとロザンナはぼんやり考えた。

送ってくれた兄とアカデミーの門の前で別れ、気怠さを感じながら自室に戻る。

帰ってきたロザンナが部屋着に着替えるのを手伝った後、トゥーリは「夕食の準備をしますね」と急ぎ足で部屋を出て行った。

ロザンナは夜風に当たりたくてガラスの扉を開け、小さなバルコニーへと出た。

手すりに腕を置いて庭園へと視線を落とすが、すっかり暗くなっているため何も見えない。


「お疲れ様」


隣の部屋のバルコニーから声をかけられ、ロザンナはそちらに顔を向ける。ルイーズが自分と同じような格好でバルコニーに立っていた。

< 142 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop