ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
もちろん、ロザンナはそこも計算済みだ。繰り返しテストを受けているため、ほぼ問題も答えも分かっている。
補修に引っかからず上位にも食い込まないように、平均を狙ったのである。
結果が出たその日から、花嫁候補の大移動が始まる。しかし、一般の授業をとっているロザンナたちには関係ない。
荷物を抱えた侍女を後ろに、笑顔で寮の廊下を歩いて行く花嫁候補たちに逆行する形で、ロザンナがルイーズと共に自室に向かっていると、突然背後で「ロザンナ・エストリーナ!」と名を呼ばれた。
ぎくりとし振り返り、ずんずんと歩み寄ってくるメロディー先生の姿を視界に捉え、ロザンナは「うっ」と呻いた。嫌な予感しかない。
「……先生、どうかなさいましたか?」
「えぇ。あなたには補習に出ていただこうと思いまして」
「ほっ、補習ですか。お言葉ですが、私、赤点はありません。平均点はちゃんと取れています」
補習だなんて冗談じゃない。自分に受ける理由はないとロザンナが抗議すると、メロディ先生の口がぴくりと引きつった。
「あの課題を全て完璧にこなしてきたあなたが、ほぼ平均点。しかも答えられるはずの答えも間違っていたり。平均点はちゃんと取ったですって? なんだか、わざとそうしたかのように聞こえたわ」