ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
……そのはずなのに、アルベルトがマリンを訪ねたと聞いた時も、そして仲の良いふたりを目の当たりにして、ロザンナの胸は苦しくなる。
悔しいけれど、やっぱりアルベルトは格好いい。彼の態度に胸が高鳴らせ、気付けば期待してしまっていた。
アルベルトが選ぶのはマリン。誰かに言うだけでなく、自分に対しても何百回と繰り返してきた言葉を、再び心の中で繰り返す。
不意にアルベルトの目がロザンナを捕らえた。途端にロザンナに気まずさが込み上げてきて、ぎこちなく後ろへ下がっていく。
アルベルトにマリン、そして優越にまみれたマリンの取り巻きたちの視線から逃げるように寮に向かって急ぎ足になる。
寮の部屋の前までついてきた自分の取り巻きたちに「申し訳ないのだけれど、少し休みます」と告げ、そしてルイーズにも「また後で」と言葉をかけ、ロザンナは部屋の中に逃げ込む。
すぐに「お帰りなさいませ」とトゥーリが鉢植えを手に姿を現した。
咲いているのは魔法薬用の真白きディックの花。なぜ今アルベルトを連想させるそれが出てくるのかと、ロザンナは小さく項垂れる。
「休暇がなかったお嬢様にと先ほどご実家から届いたものなのですが、……お気に召しませんか?」