ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「いいえ。庭師が大切にお世話し続けてくれているものですもの。そんなことはありませんわ」
ロザンナは慌てて歩み寄り、真っ白な花弁を撫でるように手をかざした。
ぽうっと光を発したディックに目を輝かせたトゥーリにロザンナは微笑んでから、ひとりがけのソファーに深く腰かける。
アルベルトから贈られたディックの花は全て実家に置いてきてある。
「最初に見た時は驚きましたけれど、本当に綺麗ですよね。花々が一面に輝いていたら幻想的でしょうね。……あぁでも、言いづらいのですが、なかなかお世話が難しいらしく、いくつか枯らせてしまったようです。アルベルト様からの贈り物ですし、分球を試みたりと庭師も必死になったようですけど力及ばずで」
「そう。観賞用としての花ではないから、いつも通りではいかないこともあるかもしれないし、仕方ないわよ」
もしかしたら栽培に関する注意事項があったのかもしれない。
アルベルトに聞いておけば良かったとロザンナは考えを巡らし、幼い時に目にしたものを思い出す。
彼の誕生日パーティーが催されたあの日、花壇にはたくさんのディックの花が咲いていた。