ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

もう一度だけ「ロザンナ様」と呼び掛けてから、トゥーリは使いが待っている戸口へと戻っていった。

「申し訳ありませんが」と事情を説明するトゥーリの声を聞きながら、ロザンナはわざとらしく咳を連発する。

アルベルトとあの男性が同一人物かどうかはわからない。確認するのも怖い。正解だったら殺されるかもしれないからだ。

しかし、気になってしまったからには、今までのように警戒心なく接することも難しい。

顔を合わせたら態度で不審に思われる。しばらく会わないようにしよう、それが身のためだとロザンナは決意した。



それからロザンナはのらりくらりとアルベルトの誘いを断り続け、学園内で鉢合わせした時も次の授業に遅れてしまうのでとそそくさと彼から離れていく。

そんな状態が一週間続いた。


「さすがアルベルト様! マリンさんに似合うものをよくわかっていらっしゃる」


教室の真ん中で、取り巻きたちがマリンを褒め称えている様子を見つめながら、ルイーズが「あれは誰が付けても大体似合うわよ」とぼそり呟く。

ロザンナはただ曖昧に笑うだけにとどめた。

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