ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

アルベルトの表情は真剣で、とても嘘をついているようには思えない。

ずっと欲しかった言葉に、喜びで胸が震える。目に涙も浮かぶが、すぐにこれまでの人生の記憶が心に影を落とす。

結局彼が選ぶのはマリンなのでしょと、彼を信じ切れないもどかしさがロザンナを苦しめた。


「なんでこの世の終わりみたいな顔をしているんだよ。そんなに俺が嫌いなのか?」


アルベルトにボヤかれ、ロザンナはハッと顔を上げてふるふると首を横に振る。


「それなら俺は、ロザンナにとってどんな存在なんだ」

「……私は、自分の気持ちと向きあうのが怖いのです。アルベルト様を慕っていると認めたら、どんどん好きになってしまう。あなたしか見えない状態になった時に、手を離されたらと考えたら……怖くて仕方がないのです」


一回目の人生の死因はロザンナ自身だ。アルベルトを好きすぎて、でも彼が他の女性を選んだことに絶望し自ら命を絶った。

今ロザンナは、彼に惹かれ始めている自分に気付かないふりをしている。

アルベルトを心のままに好きになり、期待を膨らませるほど絶望もおおきくなるからだ。


「……俺が信じられないんだな」


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