ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

アルベルトは顎に手を当てて考える仕草をした後、ロザンナを掴んでいた手を離してソファーから立ち上がる。

机の引き出しから何かを取り出してロザンナの隣に舞い戻ると、再び手を掴み取った。

手の中に置かれた冷たい感触にすぐさま視線を落として、ロザンナは大きく目を見開く。彼から渡されたのは鍵だった。


「この部屋の鍵だ。ここは今、執務室として使っている。放課後や空き時間は大抵いるから、ロザンナにも来て欲しい。その目で見て判断してくれ。俺が心を許すに値する人間かどうかを」


アルベルトの真剣な面持ちと手の中にある小さくても重みを感じる鍵を交互に見た後、ロザンナは頷いた。


「わかりました。また来ます。ここには読み応えのある書物がたくさんありそうなので」

「好きなだけ読んでいいから、妃教育にもやる気を出してくれ」


ロザンナはテーブルにそっと鍵を置くと、紅茶を一口飲み、早速書棚へ向かう。


「今日はこれを読むわ」


引き抜いた本を胸元に抱えてロザンナは振り返り、アルベルトへと嬉しそうに笑いかけたのだった。



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