ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
声を震わせてのロザンナの問いかけは無視し、マリンは驚いた様子で部屋の中を見回している。
「こんなところで補習をしていらっしゃるの?」
マリンはうろついた後、ロザンナのそばで足を止める。彼女が見つめているのはアルベルトの仕事机。
「……それ、アルベルト様が好きなお花ね」
呟かれた低い声音、鋭い眼差しが突き刺さり、ロザンナはぎくりと肩を竦める。
「本当に補習なの? まさかここで、アルベルト様と会っていたりしないわよね」
なんて誤魔化そうか。まず最初にそう考えたが、ここでその場しのぎの嘘をついてもいつかきっとバレてしまうだろうとすぐに思い直す。
ロザンナは背筋を伸ばして、マリンと向き合った。
「えぇその通りです。私はここでアルベルト様と過ごしております」
はっきり告げると、マリンは唇を噛んでロザンナを睨み返した。
「宰相のお父様を持っているあなたが、恨めしくて仕方がない」
「お父様が宰相だからって、なんだって言うの?」
「国王に進言できる唯一の存在。発言力も強く、国王に代わって臣下を動かすこともできるのよ? アルベルト様はあなたを蔑ろにできないわ。宰相様を怒らせて、謀反を企てられたら大変ですものね」