ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

二階の廊下を進み、とある部屋の前でスコットが足を止める。控え目な音を立てて扉を叩くと、すぐ中から「どうぞ入って」と柔らかな声が返ってくる。

スコットが「失礼します」と話しかけ、ゆっくりと扉を開けた。ロザンナもスコットに続いて入室し、丁寧にお辞儀をする。


「突然呼び出してごめんなさいね。どうぞ座ってちょうだい」

「はい」


ロザンナは緊張いっぱいに返事をし、ぎこちない足取りで王妃のいるテーブルまで進み、向かい側の席へ腰をおろす。

城内の荘厳さにすっかり気後れしていたが、この部屋は白を基調としたカントリー調の家具で揃えられているからか、自然と気持ちが落ち着いてくる。

部屋だけじゃない。微笑みかける王妃の様子も気取ったところは全くなく、親しみすら感じてしまうほどだ。

ロザンナの傍に立ったスコットへと、王妃は目を大きくする。


「あら、スコットはここまでよ。女ふたりで気兼ねなくお話がしたいの。遠慮してくださいね」

「そ、そうですか。ご一緒したかったのですが仕方ありませんね。それでは失礼いたします」


言葉では受け入れたものの、心残りの顔をしてスコットは部屋を出て行った。

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