ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
本音を言葉にした王妃と、ロザンナはじっと見つめ合う。
アルベルトの花嫁になりたい。でも結局はアルベルトが選ぶのはマリンかもしれない。
今を信じようとする力を過去の怯えが邪魔をする。最後の一歩を踏み出せぬまま、ロザンナは微かに唇を噛んだ。
言葉を返せなかったのはそれだけで、王妃とのお喋りはとても楽しく、飛ぶように時間が過ぎていった。
アカデミーに戻る時間を迎え、王妃に名残惜しそうに見送られながら、ロザンナは侍女と共に王妃の部屋を出た。
城の外へ出て、ロザンナの前を歩いていた侍女が「あら?」と困惑げに呟く。
王妃の部屋で戻りの馬車の準備が整ったと声がかけられたため出てきたのだが、なぜかそれが見当たらないのだ。
侍女は近くにいた庭師に話を聞きに行き、すぐにロザンナの元へ戻ってきた。
庭師が言うには、確かに馬車は止まっていたが、つい先ほど違う誰かを乗せて、城から出て行ってしまったようだ。
「再度手配致しますので、少々お時間を」と王妃の部屋へ戻る提案をされたが、ロザンナはたくさんの花が咲き誇っている美麗な庭園へと目を向け、「お庭を見て回っていてもいいですか?」と願い出た。