ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
城内へと小走りでかけていく侍女の背中を少しばかり見つめてから、ロザンナは庭を散策し始める。
遊歩道を進みながら鮮やかに咲いている花々を目で楽しみ、時々胸いっぱいに息を吸い込んでは甘い香りに笑みを浮かべる。
途中でベンチを見つけて腰をおろし、先程の王妃との会話で出てきたアルベルトの十二歳の誕生日パーティをぼんやり振り返る。
あの日はロザンナにとっても特別な日だった。
彼に指摘されたことで、自分が光の魔力を持っていることに気付き、今までにない人生を歩む切っ掛けとなったからだ。
遠くに視線を伸ばし、目に入った小道にあっとひらめく。見つけたのは、別館に続く道だ。
真白きディックが咲いていたあの裏庭へ、もう一度行ってみたい。
一度考えてしまえば止められなくなり、ロザンナはそっと立ち上がり歩き出す。
途中ですれ違った庭師に、散歩がてら別館の方まで行って戻って来ますと、侍女へ伝言をお願いする。
あの場所は今、どんな風になっているのだろう。
別館への道から幅狭のレンガ道へと入り、懐かしさと共に胸を弾ませながら進んでいく。
やがて、目的地である開けた場所に出て、ロザンナは「わぁ!」と歓喜の声を上げる。