ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

唯一変わらないのは小屋だけ。かつては一つしかなかった魔法薬用のディックの花壇が、今は十以上も増えていた。

この白で溢れかえった景色の中にアルベルトを想像し、ロザンナは微笑む。

エストリーナ家の庭師はこの花に手こずっているというのに、他の花同様こんなにも見事に咲き誇っているのは、城の庭師が優秀というだけではないだろう。

きっとアルベルトが試行錯誤をし、いろいろと助言をしているからだ。

もしかしたら彼が自ら世話をしているかもしれない。

優しく笑いかけながら水撒きをするアルベルトの姿を思い浮かべ、想像の中ですら絵になる優雅さにロザンナはたまらず口元を綻ばせた。

花壇と花壇の間の縦に伸びた通路を奥へと進む途中で、ざわりと花の揺れる音を耳が拾う。

しかし、風は吹いてなく、ロザンナの周りも揺れている様子はない。

不思議に思って振り返り、手前の花だけが変に揺れているのに気づいて首を傾げた。

数秒後、ハッとして辺りを見回す。光は眩く火は燃えるように、このディックは力に顕著に反応する。

不自然な揺れの理由がそれならば、風の魔力を持った者が、……しかも力を発動させた状態で近くにいるはずだ。


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