ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

それにロザンナは「もう?」と不思議に思い、開けられた扉の向こうの景色を目にし驚きで目を見開く。


「ここ、お城ですよね?」

「あぁ。その通りだ」


アルベルトに手を引かれながら馬車を降り、ロザンナは困惑気味に話しかけた。対して、アルベルトはさも当然の顔で返事をする。


「私はてっきり森に行くのかと」

「確かにそこも考えたが、普通に、眠れる場所が……」


その先の言葉は欠伸でかき消された。

多くの者から挨拶を受けつつ城へと入り、ロザンナの中でまさかという思いが膨らむ。

アルベルトに手を引かれながら螺旋階段を三階まで登り切ったところで、ロザンナはたまらず話しかけた。


「……ア、アルベルト様。どこでお昼寝をされるつもりですか?」


問いかけると同時にアルベルトの足が止まり、目の前の扉を押し開ける。


「自分の部屋だ」


そのまま部屋の中へ入ろうとしたため、ロザンナは慌ててアルベルトの手を掴んで引き止める。

普通に眠れる場所という言葉から、自室のベッドで惰眠をむさぼりたいのだろうと予想はしたものの、実際ここまで来てしまうと緊張で動きが鈍くなる。

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