ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
そこでふっと頭に浮かんだのは友人のルイーズの姿だった。彼女のように何かを学び自分の力にして、生きていけたら素敵だ。
ロザンナは火の魔法を扱える。
今回はその力を磨いて、アカデミーへは花嫁候補として入学し学生として卒業するのを目標にしてはどうだろうか。そうすれば、ルイーズとも長く一緒にいられる。
「まずは、家にある教本から読破ね!」
ロザンナは組んでいた腕を解いて、やる気をみなぎらせながら拳を握りしめた。
「これが最後の人生になるように。華麗に生きてみせるわ!」
花瓶に生けてある花の中にひとつ混ざっていた小さな蕾を指で軽く突っついたあと席を立ち、ご機嫌な足取りでガゼボを離れていく。
誰もいなくなったそこで、小さな光が瞬いた。ロザンナが触れた蕾が、徐々に膨らみ色づき始める。ひっそりと、見事な花を咲かせた。
それから一年後、夕食時に父スコットの言葉に耳を傾けながら、永遠に十歳のままでいられたらどんなに幸せだっただろうかと、十一歳になったロザンナは浮かない顔をしていた。
「……やっぱり、出席しなければいけませんよね」
「もちろんだよ。アルベルト王子が十二歳の誕生日を迎えたお祝いだからね」