ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
じわりと焦りが広がるのを感じながら、ロザンナは「落ち着くのよ」と心の中で自分自身に言い聞かせる。
ひとまず、強い思いだけは伝えておきたい。この出会いを切っ掛けにできるように。
「アルベルト様から親しい仲だとお聞きしました。それで、アルベルト様に本を贈りたいのですが何が喜ばれるかわからなくて」
そこでロザンナは言葉を途切らせ、真剣な眼差しをゴルドンへと向けた。
「いろいろとご教授いただきたいのです」
ゴルドンもロザンナの思いをしっかりと受け取るかのように、真面目な顔で答えた。
「えぇもちろんです。私でよければ、力になりましょう」
表情と力強い声音から、今のは言葉に込めた全ての思いを理解した上での返事だとロザンナはしっかりと感じ取る。自然と笑顔が溢れ、アルベルト様に感謝しなくてはと心の底から思った。
それからロザンナは時間が許す限り、ゴルドンの元へ通うようになった。
最初は本屋に付き合ってもらう目的で、次はそのお礼、そのまた次はゴルドンから本を借りたためそれを返しに。
それ以降も、ゴルドンに会うために様々な理由を考えては強引に実行へと移し、次第に名目は診療所の手伝いへと変わっていった。