ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「そろそろよろしくて?」
ロザンナが真顔で勢いよく手を払い退けると、アルベルトは楽しそうに肩を揺らす。
「そんなに嫌そうな顔をしないでくれないか? 俺たち夫婦になるかもしれないのに」
心にもないことを。「ふふっ」と冷めた顔で笑い返し、ロザンナはアルベルトに背を向けた。
頑張った結晶である回復薬をゴルドンにも見てもらおうと、試験管立てを棚から取り出すべくロザンナは背伸びをする。
自分の頭よりも高い場所に置かれてあるからだ。
しかし、試験管立てが指先に触れると同時に、それはアルベルトによって掴み取られて、棚のさらに上段へと移動した。
信じられないとアルベルトを見るも、彼から冷ややかに見つめ返され、ロザンナはたじろぐ。
それならばと他のを掴み取ろうとしたが、ことごとくアルベルトに邪魔されて、ロザンナは「アルベルト様!」と声を荒げた。
「どうして意地悪するんですか!」
「分からないお前が悪い」
ロザンナとアルベルトが睨み合うそこへ、ゴルドンがやってきて、「おや」と面倒臭そうな声を発した。
「君たち、何をやってるんですか?」
「アルベルト様が意地悪するんです!」
「意地悪されたのは俺の方だ」