ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
「アルベルト様の名前を出せば父には効果的かもしれませんね。それなら私もアルベルト様に認めてもらいたくて診療所で手伝いをしているとでも言うことにします。それで問題は解決ね」
すぐさま「足りないな」とアルベルトは指摘し、ロザンナの頭を手荒に撫でた。
「俺に好かれるためには手段を選ばないとでも言っておけ。ただの嫁候補のひとりでしかないんだろ?」
「えぇそうですね。そのようにいたします」
自分の頭を撫で回す手をムキになって払い避け、ロザンナは恨めしげに手櫛で髪を整え始める。
ゴルドンは苦笑いを浮かべてから、「アルベルト様、少しお話しよろしいですか?」と部屋を出るように促した。
すぐさま「あぁ」とアルベルトも姿勢を正しゴルドンに続くが、戸口をくぐる直前にロザンナを振り返る。
「次会う時、つけていなかったら拗ねるからな」
「何のことですか?」
「髪飾りだよ」
囁くように言い残し、アルベルトはゴルドンと共に部屋を出ていった。
改めてロザンナは自分の髪に触れ、自室の鏡台に置きっぱなしの蝶の髪飾りを思い浮かべた。
髪飾りはもらったあの日以来つけていない。何となくそんな気になれなかったのだ。