ヒミツの恋をはじめよう

 アプローチをするにしても、そうそう出会いは巡って来ないものである。
 コンビニでの一件以来、彼女と偶然会えるわけもなく、時間だけが過ぎていく。
 会社では毎日のように姿を見かけるが、小柴さんから「彼女に内示を打診するまでは接触しないで欲しい」と言われている為、用もない俺が彼女へ話し掛ける理由がない。
 恭司に彼女との仲を取り持って欲しいと乞えばいいのかもしれないが、それだけはしたくない。そもそもお願いしたところで、恭司も絶対に頷かないだろう。
(いっそのこと、次に彼女を見かけたら告白してしまおうか)
 満足に話したこともない相手に対して、ここまで夢中になるのはなぜなのか、自分でも分からない。彼女を初めて目にした時の高揚感を忘れられないだけなのかもしれない。
 彼女へのこの気持ちが“恋”なのか、はたまた秘密を知った“好奇心”なのか。彼女と話すきっかけがあれば、チャンスをものにしようと心に決めた。
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