ヒミツの恋をはじめよう
仕事終わりの金曜日。恭司を飲みに誘うも今日は恋人との先約があるから無理と断られ、一人で飲食街を彷徨う。たまには美味しいものを食べて英気を養おうと賑やかな通りを散策していると、一軒の看板が目に入った。
(ここは確か……)
以前恭司に紹介された店だと気づき、地下へと繋がる階段を下っていく。重厚な扉を開けると、ゆったりとした音楽が流れる心地の良い空間が広がっていた。
店員に促されるままカウンター席へ着こうとしたところ、目に入った女性の姿に一瞬時が止まったような気がした。
(……藤森さんだ)
周りを見渡すも彼女の隣には誰もおらず、どうやら一人で食事と酒を楽しんでいるようだった。
まさかの偶然に鼓動が高鳴り、自分の気持ちを抑えられなくなった俺は、何の抵抗もなく彼女に話し掛けていた。
「隣、良いですか」
突然見知らぬ男に話し掛けられた彼女は、少し驚きながらも「どうぞ」と軽く会釈をし、俺を拒みはしなかった。
拒まれなかったことに有頂天になった俺は、あれよあれよという間に告白を済ませ、彼女とデートの約束も取り付けた。
正直なところ、こんなにも簡単に他人とのデートを許してしまう彼女を心配したが、もしかすると彼女は俺が誰であるかに気づいて話を合わせてくれていたのかもしれないと思案する。
その場しのぎの嘘かもしれないが、ようやく手にした彼女との接点を無駄にはしないよう、念には念を入れてメッセージを送る。
『デート当日、さつきさんが来るまでずっと待ってますね』
既読にはなったものの、彼女からの返信はなかった。彼女が真面目で誠実であることを利用してしまったことに少し心が痛んだが、きっと彼女は現れるだろうという期待の方が勝り、浮かれた頭のまま週明けを迎えた。
(ここは確か……)
以前恭司に紹介された店だと気づき、地下へと繋がる階段を下っていく。重厚な扉を開けると、ゆったりとした音楽が流れる心地の良い空間が広がっていた。
店員に促されるままカウンター席へ着こうとしたところ、目に入った女性の姿に一瞬時が止まったような気がした。
(……藤森さんだ)
周りを見渡すも彼女の隣には誰もおらず、どうやら一人で食事と酒を楽しんでいるようだった。
まさかの偶然に鼓動が高鳴り、自分の気持ちを抑えられなくなった俺は、何の抵抗もなく彼女に話し掛けていた。
「隣、良いですか」
突然見知らぬ男に話し掛けられた彼女は、少し驚きながらも「どうぞ」と軽く会釈をし、俺を拒みはしなかった。
拒まれなかったことに有頂天になった俺は、あれよあれよという間に告白を済ませ、彼女とデートの約束も取り付けた。
正直なところ、こんなにも簡単に他人とのデートを許してしまう彼女を心配したが、もしかすると彼女は俺が誰であるかに気づいて話を合わせてくれていたのかもしれないと思案する。
その場しのぎの嘘かもしれないが、ようやく手にした彼女との接点を無駄にはしないよう、念には念を入れてメッセージを送る。
『デート当日、さつきさんが来るまでずっと待ってますね』
既読にはなったものの、彼女からの返信はなかった。彼女が真面目で誠実であることを利用してしまったことに少し心が痛んだが、きっと彼女は現れるだろうという期待の方が勝り、浮かれた頭のまま週明けを迎えた。