クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「男爵の部屋はどこだ!?」
「中庭に面した二階の角部屋でございます!」
 聞いた瞬間、俺は外套を深く被り直し、炎上する屋敷に向かって一直線に駆け出した。
 中庭は延焼の激しい通り沿いとは反対側。……まだ、救出は可能だ!

***

 火事の発生と負傷者の可能性をエドワードに伝え、ライアンの後を追って走った。
 私が息せききって駆けつけた時、屋敷は真っ赤な炎に包まれており、近隣の住民らによる消火活動が始まっていた。だけどその中に、ライアンの姿はない。
「ライアン! ……ライアン!?」
「君はライアン様のところの人かい?」
 私がライアンの姿を探していると、消火活動のリーダーと思しき男性が気づいて声を掛けてくれた。
「は、はい!」
「ライアン様なら、取り残された住民の救助に向かった」
「っ、そんな!? この燃え盛る炎の中を……!」
 聞かされた瞬間、目の前が真っ黒に染まり、グラリと体が傾ぐ。
「あなた、大丈夫!?」
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