クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「とてもいい案だわ! 皆さん、今の話を聞いていた!? アルウェル子爵家にお願いに向かいます! それから、汲み取りに使えそうな樽や桶もありったけ集めましょう!」
 婦人は私の提案に即座に同意を示し、行動に移る。周囲の面々も、次の瞬間には駆け出していた。
 そうしてアルウェル子爵家の同意を得て、住民総出で池から消化用に水のリレーが始まった。当然私もリレーに加わり、満タンに水が汲まれた樽や桶を受け取ると、無我夢中で隣の人に渡す。何度も何度も同じ動作を繰り返した。
「ライアン様が戻られたぞ! 男爵もご無事だ!」
 そんなリレーの最中、ライアン無事の一報がもたらされた。
 あぁ、ライアンがあの炎の中から無事に戻ってきた――!
 胸が詰まり、眦から熱い物が頬を伝う。私の立ち位置は火事現場からは少し距離が離れたアルウェル子爵家の敷地内。帰還した彼の姿を見ることは叶わなかった。
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