クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 辿り着いた寝室でいい子で布団に包まる。
「いい子ねライアン、おやすみなさい」
「おやすみマリア」
 幾らもしない内に、マリアから健やかな寝息があがる。それを聞くに、俺を労わってみせるマリア自身こそ、極限に近いくらいに疲労していたのだと気付く。
「……マリア、よく頑張ってくれたな。火事が近隣への延焼なしに抑え込めたのは、間違いなく君の機転で行った消火リレーによるところだ。ゆっくりお休み」
 もちろん本音では、期待していた約束が延期になってしまったのは残念でならない。だが、マリアも言っていた。俺と彼女は夫婦だから、これから先俺たちの上には無限の時間が続く。さらにマリアは「目いっぱい協力させてもらう」と、こんなに嬉しい台詞までくれたのだ。
 約束は明日、叶う。それを思えば、もうひとつ眠れぬ夜を過ごすことくらい、なんということもない。
 と、こんなふうに自身を鼓舞してみせる俺だったが、この時はまだ知る由もなかった。
 俺の眠れぬ夜と、紳士の我慢の日々は、まだ続行となることを――。

END

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