クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 唖然とする俺を余所に、彼女はそのまま髪をクシャクシャと撫でながら、こんなふうに締めくくった。
 予言めいた物言いは、医師の助手が告げるには非科学的であったし、いきなり患者の頭を撫で回す行為は、俺が高位貴族の子弟というのを抜きにしても気安すぎる。
 しかし俺は、それらの言動をまるで失礼とは思わなかった。アレルギーを抑える薬や治療を所望していた父は、「話にならん」と一蹴したが、幼い俺は老婆の話に密かに希望を繋いでいたのだ――。
 彼女をひと目見た瞬間、全身がカッカと熱くなるのがわかった。さらに驚くべきことに、彼女と一メートルの距離に近づいても、肌に火照りはあれど発疹は現れず、皮膚は常の滑らかさを保っていた。
 そうして彼女の爪先が俺の股間を抉った瞬間に、確信した。彼女こそ、俺の妻となる娘だと――!
 全身に、いつもの発疹とは違う、ぞわぞわとした鳥肌が立つ。こめかみを冷や汗が伝い、股間を押さえる手は、小刻みに震えていた。
 しかしこの震えは、決して股間を原発とした痛みが原因ではない。その痛みを凌駕するほどの歓喜に震えているのだ。
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