クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「まぁ大変! お顔も真っ赤ではありませんか! 体調が悪いのですね!?」
「……いや、大丈夫だ。体調は問題ない」
「いいえ! こんなに真っ赤に火照って、熱があるのではありませんか!?」
 俺が内心の消沈をひた隠し、なんとか口にした直後、離れたはずの彼女の手がペタンと俺の額に触れる。
 っ!? 驚きに肩が跳ね、呼吸が詰まった。
 スッとつま先立ちになって距離を縮めた彼女が、心配そうに眉根を寄せて俺を見上げていた。間近に見るアメジストの瞳の美しさに、くらくらと目眩がした。
 同時に、透き通るアメジストの宝石に吸い込まれてしまうのではないかと、そんな錯覚を覚えた。
 このまま時が止まってしまえばいいと半ば本気で考えた。しかし現実問題、これ以上彼女と間近に触れ合ったまま理性を保っている自信がなく、名残惜しくも額からそっと彼女の手を外させた。
「なに、俺は普段から体温が高いんだ」
「それは本当ですか?」
「ああ。騎士というのは体が資本の体力勝負。俺だけでなく、総じて体温が高めの者が多い」
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