クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 なんとか平静を取り繕って答えれば、彼女は納得した様子でフッと表情を緩ませた。
「そうでしたか。すみません。どうやら私は、また早とちりをしてしまったようで」
「いいや、そんなことはない。俺は君が心配してくれて嬉しかった。ありがとう」
「い、いえ。そんな……で、ではライアン、さっそく修繕が必要な箇所を案内します」
 くるりと踵を返す彼女の横顔が紅潮して見えたのは、果たして俺の気のせいなのか……。
「あぁ、頼む」
 何食わぬ顔で彼女の誘導に従いながら、脳裏にずっと悩んできたアレルギーについて新たな見解が浮かぶ。
 俺のアレルギーは、もしかすると神からのギフトだったのではないか……? いいや、そうに違いない。俺が彼女と出会う前に間違っても他の女性と結婚したりせぬよう、神が予防線を張ってくれたのだ。
 眩いばかりのマリアを横目に見ながら、幼少期から溜め込んできた鬱屈とした思いが洗い流されて、昇華していくのを感じた。
 ……あぁ、そうか。全てはマリアと出会うための、必然であったのだ――。

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