クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
「穏やかに、心静かに、そんな暮らしぶりを否定するつもりは更々ないんだ。なにより、ひとたび俗世に出れば、心躍るような好感情ばかりでなく、時には心が波立つ悪感情にも晒されるからな。それらを避けて通ることも、もちろん選択肢のひとつだ。しかしそれらを排除しては、心を熱くする出会いや、心を震わせるような体験も、全て手放すことになってしまう。若い身空でその道を選んでしまうのは、あまりにも惜しい気がしてならん」
 ライアンの言葉にドクンと胸が跳ねた。
 これに近い言葉は、これまでにも掛けられたことがあった。だけどライアンの一言一句は、どうしてか胸の奥深いところを揺さぶる。
 ……心を熱くする出会い。……心を震わせるような体験。
 それらは修道女になるために、置き去りにしなければならない最たるものだ。だけど今、私は彼に対してそれらを感じている……っ!
「ライアン、ご忠告ありがとう! だけど私はもう、修道女になると決めているわ! なにより見習い修道女たちのリーダーまで任せられていて、今さら修道女にならないなんて……そんな不義理は、できないわ」
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