クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 私の隣で黙々と草取りをしていたカ―ラが、ボソリと呟いた。
「あら。カ―ラだって常々、素敵な男性と出会いたいって言ってたじゃないの。騎士団の方たちは、カ―ラの目にかなわなかった?」
「そんなことはないよ。あれだけ見目良い男性を前にすれば心躍るし、ときめきも感じるさ。だけど、結婚となれば話は別だ。あたしはさ、騎士の女房にはならないって決めてるんだ」
 彼女の発言は、少しばかり予想外のものだった。騎士というのは、まさにエリートの代名詞。憧れの職であり、その妻の座を望む女性は多い。
 ……もっとも私は、そんな騎士らに端から幻想は抱いていない。
 既に引退して久しいが、私の父は騎士だった。それも、騎士団の長にまで登り詰めた実力者。けれど私にとって、父は尊敬の対象にはなり得ない。
 どんなにエリートだろうと、そのことが人格者とイコールとはならないのだ。
「だって国の有事となれば、騎士は真っ先に死地に向かわなくちゃならないだろう? 子供を父無し子にはしたくないんだ。……あたしが、そうだったからさ」
「え?」
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