クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 雨合羽を羽織ってランタンを掴むと、同室の皆を起こさないよう足音を忍ばせて、寝室を後にした。
 っ! 雨もだけど、すごい風だわ……!
 居住棟を出ると屋外通路を走り、真っ先に納屋に向かった。
 ……あら?
 納屋を見回して、違和感に首を捻る。きちんと整頓されていたはずの収納棚が、少し乱れていた。
 まるで、勝手がわからない人が、なにかを探し求めたかのような……ううん、そんなはずないわね。
 今春入所の見習い生だって、入所してもう一カ月以上が経っている。納屋の収納場所がわからない子はいない。だからこれは、ただの気のせいだ。
 そう思い直して向かった棚の前で、私は眉間にクッキリと皺を寄せた。
 ……うそ、果実袋がこれだけしかないなんて!
 足りるだろうかと思案して、すぐに、ある分で対応するしかないのだと思い直す。
「ここでグダグダ考えていたって仕方ないわ。とにかく、海風をもろに受ける海沿いのブドウだけでも保護しに行かなくちゃ!」
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