クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 棚に残っていた果実袋を懐にしまい込むと、ランタンの炎を絶やさぬよう体で守るようにして、今度こそブドウ畑へと駆け出した。



 横殴りの風と雨を受けながら、広大なブドウ畑を奥へと進む。
 え? どうして!?
 暗がりに果実袋の白がぼんやりと浮かぶのを目にして、驚きに足が止まる。ゆっくりと視線を巡らせれば、風雨の影響を受けやすい海沿いのブドウを中心に、すでに果実袋が被せられていた。
 ……そう言えば、果実袋の残りがずいぶんと少なかったわ。先に誰かが来て、掛けて行ったんだわ!
 見渡す周囲に人影はなかったが、そうとしか思えなかった。きっと、敬虔な修道女の誰かだわね。……ありがたいわ。
 一応、奥のブドウを見てから帰ろうかと、横からの風を受けてしなる木々の間をぬって、海岸に沿って植えられた木々を目指した。
 ……完璧だわ。奥の海沿いの木々列までやって来て、私は感嘆の息を漏らした。
 先にやって来た人物は、風雨被害を強く受けそうな果実ばかりを、的確に保護していた。
< 55 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop