クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
これならば、私が追加で被せる必要もないわね。なにより、この雨風の中に長くいるのは危ないわ。
ブドウ畑は修道院島の一番奥にあり、気持ちばっかりの柵の向こうは切り立つ岸壁だ。岸壁の下は穏やかな内海だが、今日は常になく荒れていた。
覗き込んだ柵向こうの様相に恐怖を覚え、居住棟に戻ろうと踵を返した。
その時、一際強い風がブワリと吹きつける。
あっ! 一瞬の不意をつかれる形で、風にあおられたランタンが、私の手から離れてしまった。
――カシャーンッ。
ランタンは、柵の向こう側に音を立てて落ちる。
「っ、大変!」
慌てて柵を跨ぎ、ランタンに手を伸ばす。ところが私がランタンの持ち手に指をかけた瞬間、ここまでなんとか耐えていた炎がフッと消えた。
必死で着火ツマミを回すが、灯油を通す芯部分が濡れてしまったのか、一向に火は灯らない。
……なんてこと。
星も月もない夜に、唯一の頼みの明かりがなくなった。周囲は暗黒に包まれて、不気味に響く雨風と波の音が、一層恐怖心をあおった。
もう、ランタンは駄目だわ。柵は、どこかしら……?
ブドウ畑は修道院島の一番奥にあり、気持ちばっかりの柵の向こうは切り立つ岸壁だ。岸壁の下は穏やかな内海だが、今日は常になく荒れていた。
覗き込んだ柵向こうの様相に恐怖を覚え、居住棟に戻ろうと踵を返した。
その時、一際強い風がブワリと吹きつける。
あっ! 一瞬の不意をつかれる形で、風にあおられたランタンが、私の手から離れてしまった。
――カシャーンッ。
ランタンは、柵の向こう側に音を立てて落ちる。
「っ、大変!」
慌てて柵を跨ぎ、ランタンに手を伸ばす。ところが私がランタンの持ち手に指をかけた瞬間、ここまでなんとか耐えていた炎がフッと消えた。
必死で着火ツマミを回すが、灯油を通す芯部分が濡れてしまったのか、一向に火は灯らない。
……なんてこと。
星も月もない夜に、唯一の頼みの明かりがなくなった。周囲は暗黒に包まれて、不気味に響く雨風と波の音が、一層恐怖心をあおった。
もう、ランタンは駄目だわ。柵は、どこかしら……?