クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 クソッ! 一刻も早く彼女を陸にあげ、適切な処置をしなければ……! とはいえ、道具も無しに、彼女を背負ってこの絶壁を登るのは無理だ。
 どうしたら――。俺は必死でブルノ―ジュ島の近隣地形を思い起こした。
 ……たしか北西岸の一部が、島の居住区域より一段低い湾処になっていて、そこに鍾乳洞があったはずだ!
 マリア、もう少しの辛抱だ――! 俺は目的地を北西の鍾乳洞に定め、彼女を背負って岸沿いを泳いだ。

 俺はもともと、人よりも夜目が利く。
 だから距離こそあったものの、島の北西に泳ぎ着くと、比較的容易に鍾乳洞の入口を捜し当てることができた。
 ……ここだな! 鍾乳洞の入口は半分が海水で埋まっているが、数メートルも進めば、岩肌の地面が現れた。
 すぐに背負っていたマリアを下ろして横たわらせ、その口元に手を翳す。手のひらに、彼女の呼気を感じた瞬間、安堵でガクンと全身の力が抜けた。
 入水と同時に気絶したのが功を奏したのだろう。水を飲んだりもしていないようだった。
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