クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
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――眠りの中で、私は久しぶりに母との対面を果たしていた。
最後に母と会ったのは、もう二年も前になる。三カ月前に受け取った手紙には、医師の助手を務めながら長年に渡って金銭的に援助してくれていた祖母が亡くなったこと、それに伴い伝手を頼って住まいを移ったことが記されていた。手紙の最後は「生活が落ち着いたらまた報せる」と、こう結ばれていたが、まだ連絡はなかった。
夢の中の母は、私が知る母よりも若い。私は、その母の腕に抱かれていて、隣には父の姿もある。
ふたりは、私がほんの幼い頃に住んでいた家の庭で並んでいた。
父の顏を見るのは、母以上に久しぶりだった。父は私が幼い時分、ひと月に一度ほどの頻度で屋敷を訪れていた。しかしその訪問も、母が居住を移したことでなくなった。
そんなふたりが今は肩寄せ合って並び立ち、共に私を見つめていた。ただし、ふたりの表情は暗く、周囲の空気はどことなく重い。
『……ルドルフ様。もう来ないでくださいと申し上げたではありませんか』
母が、口火を切った。
『そうはいくか。マリアは私の子だ。私には、父親としての責任がある』