クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
 精一杯の勇気で伝えた。けれど、ライアンは目を皿のように見開いたまま、なかなか答えてくれない。
「……あ、あの? もしかして先ほどの言葉は社交辞令だったのでしょうか。それとも、修道女の道が断たれたからと、すぐにあなたに鞍替えをしてみせる私を軽蔑してしまいましたか?」
「待ってくれ! 軽蔑や鞍替えとは、いったいなんのことだ!? ……いや、そもそも『修道女の道が断たれた』というのはどういう意味だ!?」
 肩を震わせて裁可を待つような思いで見上げる私に、ライアンはハッとした様子で、声を大きくした。
「言葉通りです。十五の時に修道院長から説かれた教えで――」
 私はライアンに、修道院長の言葉を一言一句漏れなく伝えた。
「ですから、その掟を破ってあなたと素肌を触れ合ってしまった私は、もう修道女にはなれません」
 ライアンは伏し目がちになって押し黙ったまま、じっと耳を傾けていた。そうしてすべて聞き終えるとゆっくりと顔を上げ、真っ直ぐに私を見つめた。
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