きみがため
深く胸を打たれた、去年の文集。

ああ、と泣きたくなった。

あれは、桜人が私に宛てた心の叫びだった。

だから、あんなにも真っすぐ、私の心に響いたんだ。

ゆっくりと、冬の夜の街を行きながら、記憶の海を辿っていく。

そして私は、ふと足を止めた。

君のために、歌を歌う
君のために、空を飛ぶ
君のために、夢を見る
世界を変えてくれた君に、僕のすべてを言葉にして贈ろう
悲しい夏ぐれも
切ない夕月夜も
寂しい霜夜も
君がひとりで泣かないように
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