鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 暫くして、料理を作り終えた鬼畜によって、広いテーブルの上に所狭しと並べられた、どれも小洒落ていて、美味しそうな料理の数々から立ち昇る湯気と、なんとも食欲をそそる良い匂いのお陰で。

 もうすっかり胃袋も空っぽだった所為で、急にグルグルと、今日も頗る絶好調で、食いしん坊の私の腹の虫が、昨日のみたく泣き出してしまいそうになって、焦ったほどだった。

 まぁ、なんとかそれは回避できたわけなんだけれど……。

 眼の前に置かれた料理のすべてが洋風のものだったため、うちは料亭をやっていることもあって、幼い頃から外食もあまりする機会もなかったし。

 しても大抵は和食で、洋食に馴染みのなかった私には、このゴチャゴチャと色んなものが混ざった料理が何なのか、さっぱり見当もつかない。

 ゴチャゴチャと言っても、色とりどりの野菜らしきものがたくさん入っているからそう言っただけで、決して美味しくなさそう、とかいう訳ではなく。

 別に、鬼畜の肩を持つ訳じゃないが、寧ろ、どっかの店で出してても可笑しくないくらいで、とっても美味しそうだったからで。

 ただ単純に、興味本位に、これはなんなんだろうと気になっただけのことだ。

 なものだから、ついうっかり、

「この美味しそうな料理はなんですか?」

と、ぽろっと口を突いて出てしまっていたのだ。

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