鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
 あれから、結局最後まで翻弄されたてしまったものの、鬼畜に以外にも早く開放され。

 着るものもなかったし、私の服や下着まで用意してくれたのは有り難いのだけれど。

 その服や下着を前に、フリーズしてしまった私は一瞬言葉まで失ってしまった。

「……これ、なんですか?」
「『なんですか?』って、侑李さんのために用意した服と下着ですが、何かご不満でも?」

 不満も何も、サイズがピッタリっていうのもちょっとひっかかるけど、洗濯したときにでもチェックしたんだろう。まったく油断も隙もない。

 まぁ、それもちょっと嫌だけど、この際置いておくとして。

 こんなスケスケでヒラヒラの総レースの、面積の狭い、しかも紐って……。

 ーーこんな下着、恥ずかしくて着られる訳ないでしょうが!?

 五着ある服も、淡いピンクにブルーにグリーン……というパステル調の、いかにも男が好きそうな、どれもヒラヒラのスカートばかり。

 しかも、ブランド物に疎い私でも知っている、どれも、きらびやかな大通りにある高級ブランドのものばかりだ。

 こんなの、分不相応だし。いつも量販店で購入したリーズナブルで、かつ動きやすいラフなものしか着ない、中には兄に貰ったTシャツまである私には、どれもこれも絶対似合いそうにない。

 ーーいや、絶対に似合うはずがない。

「あのう、私、こういう服はどうも苦手というか、似合いそうにないんで、自分のスーツを着たいんですが」

 だから正直な意見を述べたまでのことで、まさかそれが、"あんなこと"になるなんて、思いもしなかったのだ。
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