鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

 ちょうどそこへ、無言を貫いたままで頭を振ったりする私の挙動を怪訝そうな表情で見守っていた鬼畜からは、とても心配そうな声音で問いかけられ。

「侑李さん? 大丈夫ですか? 僕が無理をさせてしまったから、具合が悪いんじゃありませんか? もしそうなら無理はしないでください。もし、侑李さんの身に何かあっては大変ですので。ねぇ?」

 鬼畜の顔を見上げると、声同様のとても心配気な表情をした鬼畜が視界に映し出されて。苦しかった胸がキュッと締め付けられるようで、ますます苦しくなってくる。

 このままじゃ心臓がもう持ちそうにない。なんとかしてこの状況から一刻も速く脱出しなきゃ。

「だっ……大丈夫です。ちょっと怒りすぎて……頭が……頭が痛くなっただけです。それにもう怒ってないから離してください」
「それはいけません。風邪だといけないので、部屋に戻って熱を測った方がいいですね」
「ただの頭痛だから大丈夫ですッ!」
「それならいいのですが……。侑李さんは無理をしそうなので心配です」
「大丈夫ですってばっ。それより、恋人の設定ということで、助手席に乗らないといけないんですよね?」
「ええ、勿論です。あっ……お待ちください。僕がエスコートしますから」
「そっ……そんなの必要ありませんっ!」
「僕がしたいんですからさせてください。さぁ、どうぞ」
「……ど、どうも」
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