鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
あんまり懐かしかったものだから、その頃のことを思い出してしまい、感慨にふけってしまった私は、
「わぁ、懐かしいな~。飛行機や船が好きだった兄の影響で、お人形ごっこやままごとのような女の子らしいものはあんまり興味がなくて、こういうところで走り回ることの方が好きだったんです。
女は板場に入れないって何度言われても、板前になりたいって言って周囲を困らせたこともあったくらいで。
だから、よく家族には、『侑李は、侑磨と一緒で男だったのに、生まれてくるときにお母さんのお腹の中に忘れ物をしたせいで女の子になった』なんて言われてたくらいなんです。失礼しちゃいますよね?
まぁ、でも、実際そうだったから、そう言われてもしょうがないんですけど」
子供連れの家族やカップルで賑わっている公園の入り口を抜けて、鬼畜と並んで砂浜を目指して一緒に歩きながら、相手が鬼畜だということも忘れて、つい子供の頃の自分のことまで話してしまっていて。
ハッと我に返った私が慌てて、今話してしまったことを、なかったことにしてもらおうと、
「あんまり懐かしくて、つい、可笑しなこと言っちゃいました。すみません、忘れてください」
放った言葉は、鬼畜には届いてはいないようで。
「侑李さんは活発な女の子だったんですねぇ? いつも一緒に居られた侑磨さんが羨ましいです。それに、板前になった侑李さんにも逢ってみたかったなぁ……。でも、ならないでいてくれてよかったです。でないと、僕がこうして侑李さんとデートすることもできなかったでしょうから」