鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛

『“『限度額適用認定証』のことで至急連絡を入れてほしい”という、電話連絡はしたようだけど。電子カルテで確認しても、ここのところ容体も安定して経過も順調のようだし、急変したっていう記録もないようだけどなぁ』という言葉が返ってきて。

 そこで初めて、『バカ兄貴の勘違いの所為かもしれない』という疑惑が浮上してきたのだが。

 私の不安は解消されたものの、この前の”朝チュン発言”を水に流してやったところにきてのこの”人騒がせな大勘違い”に、病院までの道中、バカ兄貴に対する私の怒りは募るばかりだった。

 そうこうしているうちに、光石総合病院に到着した私と鬼畜が父の病室に駆けつけるや否や、身体を直角に折って深々と頭を下げたバカ兄貴が、

『隼さんまでいらしてくださったんですか? 申し訳ありません。侑李もすまない。実は、家に訪れていた私の婚約者である恵子さんが、私の留守中に病院からの電話を受けてくれたのですが。どうやら、その連絡を受けた私が早とちりしてしまったようでして。なんとお詫びしたらいいか、本当にすみませんでした』

そういって謝ってきたのを、激怒した私がどうにもおさまらない怒りをぶつけているところへ、仲裁に入ってきてなんとか宥めようとする鬼畜。

 鬼畜の言葉に耳を傾けずにいる私をベッドの上から窘めてきた父。父の言葉にますますバカ兄貴への怒りがこみ上げてきて、バカ兄貴にケンカを吹っ掛ける私に応戦し始めたバカ兄貴。

 とうとう最後には、病人である父が一喝するという、病院にとっても他の入院患者にとっても、なんとも迷惑極まりない有り様だ。
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