鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
そんな私たちの様子に気づいたらしい鬼畜がハッとしたような表情をして、なにやら照れ臭そうに手で首の後ろを擦りながら、
「いやぁ、参ったなぁ……。侑李さんも憶えてはいらっしゃらないようなので、こんなことまで話すつもりなんてなかったのですが。あの頃のことを思い返してるうち、あんまり懐かしくて……つい」
自嘲気味に言い訳でもするかのように、そんなことを言ってきた。
そして最後には、はにかむような笑顔を浮かべていて。
そんな鬼畜と視線がバチッとかち合った刹那、ふっと切なげな笑みを零したように見えてしまい。
胸がズキンと軋んだような、何故かそんな気がした。
けれどもそれはきっと、ただ照れ隠しを装っていただけだったのだろう。
だってすぐにベッドの父の方に向かい合って、やっぱり首の後ろを擦るような仕草を繰り返しているのだから。
そんな鬼畜のことを私同様に驚きを隠せないで凝視したままだった父の表情がふっと緩んだかと思った時には、感極まったように、みるみる顔を紅潮させつつ興奮気味に声を放っていて。
「いやはや……驚きました。まさか、その頃に侑李に逢っていたとは。ですが、隼さんが侑李のことを『初恋の相手のような特別な存在』だと言って下さった理由が分かりました。侑李は幸せ者だなぁ? こんなにも大事に想ってもらえて」