鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
――兄の早とちりの所為とはいえ、鬼畜には色々迷惑をかけてしまったことだし、一応詫びておこう。
そう思ったのも事実なのだが、急に鬼畜とふたりっきりになった所為で、なんだか沈黙に耐えきれなかったというのが正直なところだ。
「……あ、あのう、せっかくの休日なのに、うちのことで振り回してしまって、本当にすみませんでした」
緊張の所為だろうか? 沈黙を破るように思い切るように放った自分の声が震えたように聞こえて、居たたまれない気持ちになってくる。
さっき、あんなことを聞いてしまった所為で、どうやら私は鬼畜のことをずいぶんと意識してしまっているらしい。
正確には、鬼畜とあんな関係になってからずっと意識してしまっているのだが、往生際の悪い私は、その理由については、未だに気づかないふりを決め込むことしかできないでいるのだけれど。
そんな私の言葉を聞いた鬼畜が不意に歩みを止めて、私が、それに倣うようにして歩みを止めると。
隣の鬼畜が、私に向き合ってきて。
「侑李さんは、僕の大事な恋人なんですから、侑李さんの家族のことで僕が動くのは当然のことです。だから、侑李さんがそんなこと気にしなくていいんですよ? 僕が侑李さんのために、したくてやってることなんですから。ねぇ?」