鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
週末の金曜日の終業後。
いつものように蔵本の運転する車の後部座席で隼と隣り合って揺られていた私は、すずとの待ち合わせ場所であるカフェの近くで車を停車してもらっていた。
隼にも、幼馴染のすずと会う約束をしていることはもちろん話していたし。
すずはあんまりお酒も呑めないし、食事しながら喋るだけだから、きっと数時間くらいのものなのに……。
そのことを聞いた隼は、
「僕のことは気にせずゆっくりしてきてください。終わったら迎えに行きますので、必ず連絡してくださいね? どんなに遅くなっても必ずですよ? 貴重な週末は、少しでも侑李さんと一緒に居たいので」
そのたった数時間、私に逢えないだけで、シュンとして、ずっと寂しがっていた。
それでも快く送り出してくれる隼のことがどうしようもなく可愛くて堪らなくて。
ーー私のほうがもういくのよそうかな? なんて、思ってしまうくらいだった。
それなのに……。降車際、隣の隼に何の予告もなしに、いきなりグイッと身体を抱き寄せられてしまったものだから、驚いた私が、
「ちょっと、急に危ないでしょッ」
思わず怒った口調で隼に文句を放つと。
さっきまでいつもの調子で、隣に座っている私の手を大事そうに自分の膝上で優しく撫でながら、蔵本とくだらないことを喋っていた隼の、寂しそうな声音が聞こえてきた。
「ついさっきまで、侑李さんのことを快く送り出そうと思っていたんですが、急に寂しくなってしまいました。もう少しだけでいいので、このまま抱きしめさせてくれませんか? 会社では侑李さんに触れたら怒られてしまうので、我慢していたんですから。少しだけ、充電させてください。それくらいはいいでしょう?」