鬼畜御曹司の甘く淫らな執愛
カフェにはもうすでにすずの姿があって、私の姿を捉えたすずが軽く手を上げて手招きしてくれている。
慌ててすずの元に駆け寄ろうとした私は、すずの隣に居る私たちと同年代の男性の姿があることに気づいて。
――もしかして、すずの彼氏かな? でも、電話では何も言ってなかったんだけどなぁ?
なんて思いつつ、私がすずの居るテーブルの前に着くなり、なにやらニヤニヤとした笑みを浮かべたすずから、
「侑李、この人、誰だか分かる? 高一の時によく一緒に屋上でお弁当食べてた、サッカー部の結城君。懐かしいでしょ?」
思いがけない人物の名前を聞かされることになってしまい。
あまりの驚きに、すずの隣に座っている結城君の顔を凝視したまま呆然と突っ立ったままでいる。
「高梨さん、久しぶりだね……っていっても、僕、夏休みに引っ越しちゃって、忘れちゃってるかもしれないから、改めまして。結城《ゆうき》正人《まさと》です。よろしく」
私は、記憶の中の結城君と、今目の前にいる隼には及ばないにしても、隼と雰囲気のよく似た、甘いマスクをしたイケメン、結城君の顔とを比べて。
確かに面影があるその顔に、胸の奥底に仕舞い込んで、もう忘れてしまっていたはずの苦い思い出を、思いがけず掘り起こされてしまうこととなった。